なぜこの形に、この紋なのか。
信仰の器に刻まれた、
本山の意匠と祈り。
1970年代、西本願寺(龍谷山本願寺)は
本山指定の納骨容器の製作プロジェクトを
立ち上げました。
河合陶芸社の創業者である河合信治は、
そのプロジェクトの最初期から携わった一人です。
幾度もの試作と作陶を重ねた末に
完成した納骨容器。
最初はほんの数種類のみのお取り扱いでしたが、
納骨壇の様々な規格に合うように
現在は7種類の大きさの規格を元に、
25種類の商品バリエーションとなりました。
時代の流れにより様々な商品は変わりますが、
本山意匠の形は決して変えず、
今日までも弊社の納骨容器は全国の寺院様の元へ届けられています。
この納骨容器には、5つの意匠が込められています。
そのすべてが、西本願寺ゆかりの国宝建築・国宝所蔵品に由来するものです。
蓋の中央に配された「下り藤」の御紋章は、
西本願寺(本派本願寺)のシンボルです。
浄土真宗の本山を象徴するこの紋が、
納骨容器の最も目に触れる場所に刻まれています。
蓋にあしらわれた
「雲取柄」は、西本願寺の唐門(国宝)に
刻まれた彫刻の一部をその描写として採用
しています。
400年以上の歴史を持つ国宝建築の美が、
器の蓋に息づいています。
蓋の六角側面に配された「花紋」の元に
なっているのは、
本山黒書院(国宝)の一室、
違い棚の上部に彫刻されたスカシ模様です。
格式高い書院建築の繊細な意匠が、
容器の蓋に静かに刻まれています。
法名・俗名のシールを添付する側面に描かれた
「唐草紋様」は、西本願寺が所蔵する
三十六人歌集三十九帖(国宝)に
描き出されたものです。
平安時代から伝わる国宝の意匠が、
大切な名前を守るように寄り添います。
納骨容器の六角形は、
親鸞聖人が浄土真宗を開くきっかけとなり、
二十九歳の時に百日参籠をされた六角堂(紫雲山 頂法寺)の
建造物の型に由来します。
信仰の歴史を宿る形が、
大切なお骨を静かに包んでいます。
金枠・金箔をあしらった商品については、
京都の清水焼窯元「陶あん」の
熟練した職人が、一つひとつ手作業で
絵付けを施しています。
陶あんは、1922年創業の清水焼の工房。
「鮮やかな発色とほかにない強度」を特徴とする
清水焼の技術で、容器の側面に
細やかな意匠を描き込んでいきます。
この工房は、河合陶芸社の
絵付けを手がける、長年の信頼を置くパートナーです。
大切なご家族の魂を納める器として、
一つひとつに本山の意匠と祈りを込めています。
下り藤の御紋章、六角堂ゆかりの形、
国宝に刻まれた意匠たち——。
この器を手にするとき、
そこには本山への信仰と、
受け継がれてきた祈りが宿っています。
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